解説

近年、生成AIの活用が業務プロセスに組み込まれつつあり、どのようなサービスを利用するのが最適かという視点が重要になっています。実際に利用するうえで気になるのが「応答速度」です。そこで今回は、IT調査会社のICT総研が実施した、主要なAIチャットサービス3種(ChatGPT、Gemini、Claude Sonnet 5)のAPI経由での実測結果をまとめたものです。

本記事では、これらのサービスがテキスト生成を行う際の「初回トークン到達時間」(回答開始までの速さ)や、「完全応答時間」(回答の完了までにかかる時間)といった観点を詳細に比較しています。各サービスの特性の違いが明確になり、単なるベンチマーク値だけでは判断しにくい側面も確認できます。

実際に自社のシステムやワークフローへAI機能を組み込む際、これらのレイテンシの特性を把握しておくことは重要な検討材料となります。特に利用時間帯による変動幅など、具体的な性能データを参考にしたいところです。

ポイント

  • ICT総研は主要AIチャットサービス3種(ChatGPT, Gemini, Claude Sonnet 5)のAPI経由での応答速度実測調査を実施した。
  • 測定結果では、ChatGPTが初回トークン到達時間で最速を記録する一方、E2E応答時間はClaude Sonnet 5が最も長い傾向が見られた。
  • 各サービスはそれぞれTTFTや標準偏差に違いがあり、単純なベンチマーク値だけでなく、利用時間帯や環境による変動も考慮する必要がある。

情シスへの影響

本記事の内容自体はAIサービスの性能比較であり、情シスが即座に対応すべき設定変更を要求するものではありません。

ただし、以下の観点から関連性が考えられます。

  1. 利用環境の評価: 従業員が仕事でこれらの生成AIサービス(特にAPI経由での組み込みや社内システム連携)を利用する場合、どのサービスのレイテンシ特性を持つかを理解しておくことは重要です。複数のサービスを比較検討し、自社のワークフローに最適な選択を行うための情報源となり得ます。

  2. SLAおよびパフォーマンス設計: 組織内でAIを活用したアプリケーションを開発・導入する際、API経由でのリアルタイム性を考慮し、どのサービスの応答速度が本番環境の要求仕様を満たすかを判断するためのベンチマークデータとして活用できます。

影響範囲

利用している生成AIチャットサービス(ChatGPT, Gemini, Claude Sonnet 5)の機能設計および従業員向け利用ガイドライン

API経由での組み込み・連携を想定する開発環境、自社システムとの接続部分(ネットワーク、認証)。

重要度

★★☆☆☆

対象者

  • セキュリティ担当者
  • M365管理者
  • AD管理者
  • ネットワーク管理者

優先度

様子見

優先度の理由

これは特定の脆弱性や運用停止リスクを伴う設定変更に関するものではなく、単なるサービス性能のベンチマーク比較情報に留まっています。しかし、組織でのAI利用が本格化しているため、各サービスの特性を把握することは今後のIT戦略策定において参考になります。

確認手順

  • 現在導入・検討中の生成AIチャットボット(ChatGPT, Gemini, Claude Sonnet 5など)の利用範囲と目的を確認する。
  • 社内でのAPI連携を利用する場合、どのサービスのレイテンシ特性が業務要件を満たすか、開発部門と共有する。
  • 利用規約やAPIアクセスに関する費用対効果を評価し、必要なライセンス契約やプロキシ設定の変更が必要か検討する。
  • 本調査結果(応答速度データ)を根拠とし、複数サービスを比較検証するための社内PoC(概念実証)環境の構築可能性を探る。

推奨対応

  • 現時点では緊急な対応は不要ですが、AI活用による新システム導入やAPI連携の検討を進める際は、本調査のような客観的な性能データ(応答速度、安定性)を収集し、ベンダーとのPoCを通じて検証することを推奨します。
  • 全社的な生成AI利用ガイドラインを策定する際、単に「使える」かどうかだけでなく、「業務フローへの組み込みやすさ」(例:応答のシームレスさやレイテンシ許容度)という観点を含めるようにアップデートしてください。