解説
近年、不正送金要求の手口が非常に高度化しています。特にAIを活用した生成技術を用いて、あたかも社内の役員や信頼できる取引先から来たかのように偽のメールを作成することが可能になりました。
攻撃者は単に「お金を振り込んでほしい」という指示だけではありません。根拠として、架空の請求書や関連するやり取りを含め、「物語性」を持たせることで、受け取る側が疑う余地を減らそうとします。
ポイント
- 生成AIを活用した高度ななりすまし技術により、大口送金を騙る詐欺メール(BEC)が観測された。
攻撃者は、役員なりすましに加え、偽の請求書や架空のやり取りを含め、「物語性」を持たせることで信憑性を高めている。
Microsoftは、多層的な防御策として、自動攻撃の中断機能(Automatic Attack Disruption)やZero-hour Auto Purge(ZAP)など、具体的な対策を推奨している。
情シスへの影響
【セキュリティポリシーと認証管理】
今回の手口は「ビジネスメール詐欺(BEC)」であり、企業の決済プロセス、特に経理部門のフローに関するセキュリティ教育やポリシーの見直しが必須です。
\n【メールセキュリティシステムの設定確認】
Microsoft 365環境を利用している場合、M365 DefenderなどのEDR/EMS機能を用いて、受信メールに対する認証(SPF, DKIM, DMARC)設定が適切に行われているか、また高度なフィッシング対策やなりすまし防御機能が最大限に活用されているかの確認が必要です。
【インシデント対応体制の強化】
組織内で詐欺的なメールが送られた場合の初動対応手順を定義し、関連ログ(迷惑メール報告、メッセージトラッキングなど)から証拠保全や被害範囲特定ができるよう、監視体制と運用フローを見直す必要があります。
影響範囲
Microsoft 365環境を利用する組織(特に経理・財務部門が関わる環境)。
影響を受ける設定:M365 Defender for Office 365の各種防御機能(Spoof protection, Mail-flow connectorsなど)、メール認証技術(SPF/DKIM/DMARC)の設定。ID/利用ユーザーへの具体的なポリシー変更が必要な場合がある。
攻撃対象:企業の役員、経理・財務部門の従業員。
重要度
★★★★☆
対象者
- セキュリティ担当者
- M365管理者
優先度
早めに対応
優先度の理由
悪用が観測されており(実証された攻撃事例)、AIの利用により手口が高度化しているため、メールセキュリティシステムの早期確認と防御策の適用が必要です。特に設定漏れやポリシーの未導入がないかを確認し、迅速な対応を推奨します。
確認手順
- M365 Defenderの設定画面で、Spoof Protection(なりすまし防止)およびMail-flow connectorなどの高度なメール保護機能が有効になっているか確認する。
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SPF, DKIM, DMARCのレコード設定が最新かつ適切に行われているかをDNSレコードを確認する。
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Zero-hour Auto Purge (ZAP) の導入可否と、その運用のためのテストを実施する。
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フィッシング対策や添付ファイルのスキャンポリシーについて、セキュリティチームによるレビューを行う。
- 公式ドキュメントに基づき、自動攻撃の中断機能(Automatic Attack Disruption)の有効化を検討する。
推奨対応
- Microsoft 365 Defenderなどのメール防御システムにおいて、なりすまし検出およびフィッシング対策機能を最新の状態に設定し、適用されていることを確認してください。
特に、DMARCポリシーの厳格な運用(例:p=reject)を目指して、ドメイン認証を徹底することが推奨されます。 -
経理部門など金銭に関わる部門に対し、「メールの内容だけを信用せず、必ず電話や対面で二重チェックを行う」といった具体的な手順を含めた教育と周知を実施してください。
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今回の攻撃手法に関する情報を基に、社内ネットワークの監視体制やログ取得範囲を見直し、不審な送金要求フローに対するアラートルールを設定することを検討してください。
出典・公式情報:
Protecting organizations from AI-assisted executive impersonation and invoice fraud
本記事は、上記の公開情報をもとに、情報システム担当者向けに要点・影響・確認ポイントを整理したものです。脆弱性対応・製品仕様・更新情報は変更される可能性があります。実際の対応前に必ず元記事・公式情報をご確認ください。
