解説

近年、PCやサーバーの主要な機能を支える「リモートプロシージャコール(RPC)」という仕組みが、外部からの攻撃経路として狙われるケースが増加しています。RPCは、あたかもローカルにあるかのように、遠隔地のプロセスに特定の関数を呼び出すことを可能にするため、その複雑さゆえにセキュリティ上の盲点となりやすいのが実情です。

従来のリモート通信監視では、暗号化された通信経路や技術的な制約から、悪意のあるRPCの利用を全て捉えることは困難でした。しかし、この機能強化により、Microsoft DefenderはWindowsフィルタリングプラットフォーム(WFP)との連携を深め、単なる「どのインターフェースが使われたか」というレベルではなく、「具体的にどの関数(OpNumレベル)」が呼び出されたかを詳細に監視できるようになりました。

これにより、特に外部から到達する(インバウンドの)RPCコールに着目し、重要な設定情報やアカウント情報を巡る不審な操作を検知することが可能になります。この仕組みは、従来のネットワークモニタリングでは難しかった高度な不正行為の検出を支援するものです。

本機能により、リモートレジストリの読み取り・書き込み、サービスの作成、セッション情報の列挙など、攻撃者が偵察や横展開に使おうとする具体的なアクションレベルでの異常検知が可能となり、セキュリティ対策が一層強固になります。

ポイント

  • Windowsシステムの根幹機能であるRPCコールを、詳細な関数(OpNum)レベルで監視可能となる。
  • ネットワークの暗号化による視認性の問題を回避し、インバウンドの不正アクセスや偵察活動を検出する。
  • リモートレジストリ操作、サービス作成、セッション列挙といった具体的な攻撃パターンでの警告・検知が期待できる。

情シスへの影響

受動的監視機能の導入により、従来のネットワークレベルでのログ取得では難しかった深部での不正な通信試行(例:不審な関数呼び出し)を検出できるようになる。

  • サーバー環境: 既存のセキュリティポリシーや監視システムへの追加的な影響は少ないが、Defenderの設定において「リモートRPCコール」に関する高度なルール定義や検知アラートの見直しが必要となる可能性がある。

  • レポーティング・調査: Advanced Huntingにおけるクエリ例(DeviceEvents)が提供されているため、実際のログ分析を行う際、OpNumなどの詳細パラメータを利用したより精度の高い脅威ハンティングが可能になる。これは主に事後的な調査やチューニングに役立つ。

重要度

★★★★☆

対象者

  • セキュリティ担当者
  • ネットワーク管理者

優先度

早めに対応

推奨対応

  • Advanced Huntingにおける提供されたクエリ例(リモートレジストリ、サービス作成など)を確認し、自社環境に合わせたアラート閾値設定や検知ルールのチューニングを行う。
  • 現状のセキュリティ監視体制が、OpNumレベルの詳細なRPCコールイベントを確実にログとして取得できているか、対応可否(特にOSバージョンによるサーバー・クライアントの違い)を検証する。