解説

本記事は、産業用保護リレー製品であるシュナイダーエレクトリック社の「Easergy MiCOM Px40シリーズ」において発見されたセキュリティ上の脆弱性に関する注意喚起です。

この脆弱性は、ハードコードされた認証情報(Hard-coded Credentials)の利用が原因であり、SNMPプロトコル経由で外部からの不正な問い合わせを受けると、認証されていない攻撃者によって基本的なデバイス識別情報が悪意を持って読み取られてしまう可能性があります。特に、産業制御システムやインフラ分野で使用される保護リレーのような重要な機器において、機密性の高い情報漏洩につながるリスクを伴います。

この問題を解決するための推奨対応として、SNMP機能が不要な場合はファームウェアのアップグレードによる無効化や、それが難しい場合でもネットワークレベルでの隔離(ファイアウォール利用など)が強く推奨されています。また、遠隔アクセスが必要な場合もVPNトンネルの使用などが求められています。

全体として、本件は産業制御システムにおける基本的なセキュリティ防御策を再確認し、適用する機会を提供する重要な情報といえます。

ポイント

  • シュナイダーエレクトリックの保護リレー『Easergy MiCOM Px40シリーズ』に、SNMP経由での認証情報利用に関する脆弱性が発見された。
  • 外部からの問い合わせにより基本的なデバイス識別情報が不正に漏洩するリスクがあり、ネットワーク隔離やファームウェア更新による軽減策が必要である。
  • 恒久的な対策として、産業制御システム全体をビジネスネットワークから完全に分離し、アクセス管理の徹底とVPN等のセキュアなリモートアクセス手段の利用が推奨されている。

情シスへの影響

影響を受ける製品群:シュナイダーエレクトリック Easergy MiCOM Px40シリーズなどの保護リレー

脆弱性の種類:CWE-798(ハードコードされた認証情報の利用)を利用した情報漏洩リスク。

具体的な影響:SNMPポートを経由して、基本的なデバイス識別情報が未認証の攻撃者に不正に読み取られる可能性があります。

対応が必要な機能:SNMPプロトコルを利用している場合。

影響範囲

シュナイダーエレクトリック社の保護リレー製品(Easergy MiCOM Px40シリーズなど)を導入している施設・システム。特に、これらの機器がネットワーク上でSNMPを通じてアクセス可能な環境。

影響範囲はハードウェアおよびファームウェアの管理領域、およびそれらが接続されている制御ネットワーク(OT/ICSネットワーク)。

特定のバージョンに限定される可能性はあるものの、具体的な対象製品群と利用条件を確認する必要がある。

重要度

★★★★★

対象者

  • セキュリティ担当者
  • ネットワーク管理者

優先度

今すぐ対応

優先度の理由

本件は「認証されていない攻撃者がインターロゲートできる」という形で情報漏洩の具体的なリスクが指摘されており、対策を怠ることはセキュアな制御システムの運用に重大な脅威となるため、「即時対応レベル」と判断しました。特にSNMP利用状況や物理的なネットワーク隔離状態の確認は緊急度が高いです。代替策としてファームウェアのアップグレードによる機能無効化が強く推奨されています。

確認手順

  • 影響を受けるEasergy MiCOM Px40シリーズを含む保護リレー製品の導入有無および設置場所を洗い出す。
  • 対象機器においてSNMPプロトコルが有効化されているか、利用状況を確認する。
  • リモートアクセス経路(VPN含む)と制御システムネットワークとの物理的/論理的分離状態(ファイアウォール、VLANなど)を確認する。
  • ファームウェアのバージョンを特定し、ベンダーが提供する最新のセキュリティアドバイザリや推奨ファームウェアへの更新可否を確認する。
  • 組織全体の産業制御システムにおける最小権限の原則とネットワーク分離策が適用されているか(パッシブな監査)を確認する。

推奨対応

    1. 最優先対応: 該当機器についてSNMPプロトコルが必要かどうかを機能要件ベースで判断し、不要であれば速やかにファームウェア更新等により機能を無効化する。
  • 代替・補完策: SNMPが必須である場合でも、以下のネットワークセキュリティ対策を即座に適用する。 (a) 制御システム(OT)ネットワークとビジネスネットワークの完全な分離を行い、ファイアウォールで保護する。(b) リモートアクセスは必ずVPNを使用し、アクセスログを監視する。
  • 恒常的対策: CISAおよびベンダーが推奨するベストプラクティスに基づき、物理的な管理(ロックキャビネットの設置など)とネットワーク的な防御深度(Defense-in-Depth)の向上計画を立てる。全ての制御システムデバイスのネットワーク露出(外部からのアクセス可能性)を最小限に抑える。
  • image_prompt_english_clean_v3.0_2024: Abstract representation of an industrial control system secured by a layered firewall wall. Include circuit board patterns, glowing data lines (blue and orange), and robust digital locks, symbolizing cyber defense depth.