解説

産業制御システム(ICS)や製造現場で利用されるデータ管理・処理ソフトウェアについて、複数の深刻なセキュリティ脆弱性が発見されたため、ベンダーから緊急の情報提供が行われています。具体的には、認証プロセスをバイパスできる脆弱性や、予期せぬ例外によりシステムが停止してしまう可能性のある脆弱性が指摘されています。

これらの脆弱性が悪用された場合、攻撃者は正規の認証トークンを取得したり、サービス妨害(DoS)を引き起こしてシステムの業務停止を招いたりする恐れがあります。これらは製造業全体のサプライチェーンに影響を与えるため、特に警戒が必要です。

対応策として、ベンダーはそれぞれパッチの適用や設定変更による緩和措置を推奨しています。また、米国土安全保障省(DHS)のCISAからは、ネットワーク露出を最小限に抑えることなど、現場レベルでのセキュリティ対策が強く促されています。

現時点では公的な悪用事例は確認されていませんが、システム停止や認証バイパスという点で被害想定が大きく、早急なリスク評価と対応策の検討が必要です。

ポイント

  • 産業制御系データ管理製品(FactoryTalk Historian, PI Data Archiveなど)に複数の重大な脆弱性が指摘されたため、情報共有が行われています。
  • これらの脆弱性は認証バイパスによる不正アクセスや、例外処理の欠陥を突いたシステム停止(DoS)を引き起こす可能性があります。
  • ベンダーはパッチ適用に加え、ファイアウォールによるネットワーク分離、VPN利用の推奨など、複数の緩和策を実施するよう求めています。
  • 公式情報に基づき、環境とリスクに応じた対策を計画的に進める必要があります。

情シスへの影響

影響を受ける製品群:

  • FactoryTalk Historian Site Edition (認証バイパス)

  • AVEVA PI Data Archive製品群(予期せぬ例外によるDoS)

想定される脅威と影響:

  1. 不正アクセス: 攻撃者がログインエンドポイントへの連続的なリクエストにより正規の認証トークンを取得し、システムに侵入する可能性があります。

  2. サービス停止(DoS): 本格的なユーザーが特定の例外を悪用することで必要なサブシステムのシャットダウンを引き起こし、データのロストや業務全体の中断につながる恐れがあります。

推奨される対策:

  1. パッチ適用/アップデートの確認: 各製品群に対応する最新のセキュリティパッチ(例:BF32850など)が提供されていないか、ベンダーの公式アドバイザリーを確認し、速やかに適用を検討する必要があります。ただし、適用前に必ず影響範囲や業務への影響評価を行ってください。

  2. ネットワークセグメンテーション強化: 産業制御システム(ICS)のネットワーク全体について、インターネットからの直接アクセスが不可能なようにファイアウォールによる厳格な分離を実施してください。

  3. リモートアクセスの制限と強化: リモートアクセスが必要な場合でも、VPN接続を利用し、その接続元デバイス自体も最新かつセキュリティを確保することが必須です。

  4. 監視と設定の恒久化: PI Data Archive製品においては、PI Network Managerや関連サブシステムのサービスが自動的に再起動するよう設定(自己修復)を確認し、ポート5450などのアクセスを信頼できるワークステーションに限定してください。

重要度

★★★★★

対象者

  • ネットワーク管理者
  • セキュリティ担当者
  • Windows管理者
  • Linux管理者

優先度

早めに対応

推奨対応

  • 各製品のバージョンを確認し、ベンダーが提供する最新パッチ(ワークアラウンドを含む)を適用可否と合わせて調査してください。
  • ICSネットワーク全体のリスク評価を実施し、業務に必須ではないシステムやデバイスはインターネットおよび非信頼なビジネスネットワークから物理的に分離する対策(セグメンテーション)を進めてください。
  • リモートアクセス利用状況を洗い出し、必要最小限の期間・範囲に限定し、VPN経由での接続が徹底されるようポリシーを強化してください。
  • これらの対応策や具体的なパッチ適用手順については、必ずベンダー(Rockwell Automation, AVEVAなど)の公式アドバイザリーおよびサポートドキュメントを参照し、実施記録を残してください。