解説

本件は、Hitachi Energy製の制御システム関連製品であるe-mesh EMSに存在する重大なセキュリティ脆弱性に関する通知です。この脆弱性は、NginxというWebサーバーソフトウェアのngx_http_rewrite_moduleモジュールを悪用することで発生し、認証されていない攻撃者でも利用できる可能性があります。

具体的には、特定のHTTPリクエストが送られると、e-mesh EMSが稼働する環境のメモリ領域にオーバーフローを引き起こす可能性があり、サービス停止(DoS)や最悪の場合には任意のコード実行につながる危険性があります。影響範囲は、Nginxバージョン1.30.0およびそれ以前を使用している全てのe-mesh EMSバージョンが該当します。

さらに、このシステムが採用している基盤のUbuntu Server 20.04 LTSもサポート終了(End of Life)を迎えており、単に脆弱性を修正するだけでなく、OS自体のアップグレードが必要となる状況です。したがって、本件は単なるパッチ適用以上の、長期的なプラットフォーム刷新計画が必要な重要なセキュリティインシデントと言えます。

悪用が確認され得る重大な脆弱性を含んでおり、早急に対応策を検討し、恒久的なシステム環境の改善に取り組む必要があります。

ポイント

  • , e-mesh EMSにNginx関連のバッファオーバーフロー脆弱性が発見されました。
  • , 攻撃者は認証不要で悪用でき、サービス停止やコード実行につながる可能性があります。
  • , 対応策として、Nginxの更新に加え、基盤OS(Ubuntu 20.04 LTS)から最新バージョンへのアップグレードが強く推奨されます。

情シスへの影響

【脆弱性による影響】

  • サービスの利用可能性低下 (DoS): 悪用により、e-mesh EMSアプリケーションが停止したり、再起動を繰り返す可能性があります。

  • 制御権の侵害リスク: Address Space Layout Randomization(ASLR)が無効な環境やバイパスが可能な場合、任意のコード実行によるシステムへの侵入や不正操作のリスクがあります。

【設定・構成による影響】

  • Nginxリライト設定の見直し: リクエストURI書き換えの設定に疑問符(?)を含む未命名キャプチャを置き換える形式が含まれている場合、脆弱性の悪用経路となる可能性があります。本設定の修正が求められます。

  • OS基盤の陳腐化リスク: 使用しているUbuntu Server 20.04 LTSはサポート終了が迫っており、セキュリティパッチや将来的な運用面でのリスクが非常に高いため、OS全体のアップグレード(22.04以降)を検討する必要があります。

影響範囲

製品名:e-mesh EMS (Hitachi Energy製)

影響範囲:Nginx Plus および NGINX Open Sourceを使用している全てのe-mesh EMSバージョン

対象バージョン:e-mesh EMSがNginx v1.30.0以前を使用している環境(具体的なEMSバージョンはドキュメント参照)

OS基盤:Ubuntu Server 20.04 LTS を使用している環境 (特に e-mesh EMS バージョン 4.1.6/4.4.2 など)

管理領域:ネットワーク関連のアクセス制御設定、Webサーバー(Nginx)、オペレーティングシステム全体。

重要度

★★★★★

対象者

  • セキュリティ担当者
  • Windows管理者
  • Linux管理者

優先度

今すぐ対応

優先度の理由

本件は認証不要で悪用可能なバッファオーバーフロー脆弱性が含まれており、最悪の場合任意のコード実行につながる可能性が指摘されています。したがって、緊急度の高いセキュリティインシデントと判断し「今すぐ対応」としました。

当面の対策としてNginxのホットフィックス適用や設定変更が可能ですが、同時にOS基盤(Ubuntu 20.04 LTS)もサポート終了が迫っているため、単なる応急処置で終わらせず、長期的なプラットフォーム刷新を計画的に進める必要があります。

確認手順

    1. 利用中のe-mesh EMSのNginxバージョンを確認し、v1.30.0以前に該当しないかチェックする。
    1. Nginxの設定ファイル(特にrewriteディレクティブを含む部分)を確認し、未命名キャプチャと疑問符(?)が組み合わさった置き換え形式が存在しないか検証する。
    1. e-mesh EMSの基盤OSバージョンを特定し、Ubuntu Server 20.04 LTSを利用しているかどうか確認する。
    1. システム全体のASLR設定を確認し、有効化(値=2)されていることをチェックする。無効な場合は即座に修正措置を講じる。

推奨対応

  • , Nginxのホットフィックスを適用し、Nginxを推奨される最新バージョンまで更新することが最優先です。
  • アプリケーションの設定ファイルを確認し、疑問符(?)を含む未命名キャプチャを用いた書き換えルールが存在する場合は、速やかに修正または削除してください。
  • 当システムの基盤OSがUbuntu Server 20.04 LTSを利用している場合、至急アップグレード計画を立て、Ubuntu Server 22.04またはそれ以降への移行を進める必要があります。これは脆弱性対策のみならず、サポートの観点からも必須です。
  • 全てのデプロイメントターゲットにおいてASLRが有効になっていることを再確認し、万全のセキュリティ体制を構築してください。

  • 本通知はベンダーからの情報であるため、必ず公式ドキュメントやHitachi Energyの担当部署を通じて詳細な適用手順と最新状況を確認するようお願いします。